--年--月

--日

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2012年01月

21日

San Antonio 3

ワタシの父は、スペイン語の歌をよく聞いていた。青いボックスを開いたら、カセットテープが20個くらい並んで収まっていて、ワタシたちはいつも、メロンの歌が入ったテープを選んだので、メロンの歌のテープだけシールが剥げていた。父はワタシと2人で車に乗ると、さあ一緒に歌を歌うぞ、と言ったのだ。せーんろーはつーづくーよーどーこまーでーもー。これか?ワタシは首を横に振る。おおーまーきばーはーみーどーりー。じゃあこれ知ってるか。ワタシは頷く。よし、じゃあこれ。おおーまーきばーはーみーどーりー。いくぞ、一緒に、さん、はい。おおーまーきばーはーみーどーりー。ワタシは歌っていない。

あれ?なんだ?知らないのか?ゆっきーが解けてー川ーとなってー山ーを下りー谷ーを走るーー野を横切りー畑を潤しー呼びーかけるよ、わたーしに、ホイ!ワタシは歌おうとした。じゃあいくぞ。おおーまーきばーはーみーどーりー。さん、はい。おおーまーきばーはーみーどーりー。さん、はい。おいおい。歌わないのか。さん、はい。さん、はい。こういう時に歌えないのか。さん、はい。おおーまーきばーはーみーどーりー。なーんだー。いくぞ、さん、はい、おおーまーきばー、、うるさい!!ワタシは言った。父は、全然だめだ、と言い、それから2人はずっと黙っていた。

おおーまーきばーはーみーどーりー草ーの海ー風ーが吹ーく、おおーまーきばーはーみーどーりー良くー茂ったーもーのーだ、ホイ。

さっき閉鎖していた受け付けが、今度は開いている。開いていたが、人がいない。ハロー、、エクスキューズミー。辺りをうろつくと、プールで遊んでいる音と笑い声がした。と、奥から帽子をかぶった少年が走って現れる。バスケットボールを抱えていた。
「ハロー」
「ハロー」
少年は立ち止まって、ワタシの顔をじっと見て
「泊まりたいの?」
と、言った。
「そう」
と、答えると、少年は首を傾けてワタシを敷地の中に呼んだ。ワタシは少年について部屋が並んでいる廊下を行く。ある部屋の前に来ると、少年はボールを置いて両手でドアをあけ、
「お客さん!」
と言って、また首を傾げてワタシを部屋の中に呼んだ。ワタシが部屋に入ると、少年はまたボールを抱え、走って外に飛び出して行った。

部屋の中には、ピンクの花柄のワンピースを着た太った女の人が、机に向かって座っていて、奥にいる誰かと話をしているようだった。剥き出しの太い腕には、シミの模様がついている。女の人は椅子をくるりとこちらに向けて
「あら、ごめんなさい、ちょっと待って」
と言うと、ごちゃごちゃした机の上から、紙を2、3枚選んでワタシに差出し、机のドーナツをすすめてきた。ワタシは立ったまま、紙に書かれた宿泊の手続きやルール書に目を通しながら、女の人が奥の人と話をしている間に、ドーナツを食べた。ドーナツを2個食べた。
「さあ、ごめんなさい、行きましょう」
女の人は、横歩きで机から抜け出て言った。ワタシたちは受け付けに戻るようだ。
「暑いでしょ、心配しないでね、冷房付き。何泊?」
ワタシは、何泊か決めていない。
「3泊」
と、答えた。
「まあそれくらいにしておくのがいいわね」
と、女の人が言った。
女の人はそれから早口で、キッチンやランドリーや冷房の説明をすると、ワタシは3泊分、前払いで60ドルを小切手で払って、部屋の鍵を受け取った。

冷房の音がゴーと鳴る中、金髪の女が1人、二段ベッドの下で寝ていた。ベッドから飛び出した女の足には、泥がついていた。ワタシは女を起こさないように、もう1つの二段ベッドの下で、荷物を広げる。冷たいシャワーを浴びて眠りたかったが、それには部屋が寒すぎた。そっと空調に近づいて、冷房を弱めようとすると、女はゆっくりと起き上がった。

CONTACT

TWEETS

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。