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2012年09月

05日

ポンチョ・サンチェスへ

まぶしい。熱い。青い。喉がカラカラだ。体がびしょびしょに濡れていた。服は着けていない。パンツは履いている。靴下、イエス。靴も履いていた。熱い。まぶしい。どこだここは。側に、ボロボロの白い小屋があった。三輪車、折れたフラフープ、目のでかいロバの人形、赤いスコップ、が転がっている。誰もいない。あいつも見えない。あいつはどこへ行ったのか。ああ。水が飲みたい。

あいつは僕に「行こう」と言った。あいつは手足が無いから、全身をくねらせて進んだ。僕と変わらない速さだった。あいつが頭を振ると、チリン、チリン、ポワポワポワ、と音がした。どこでも聴いたことのない、とても小さな高い音で、はじめは僕はその音がどこから聴こえてくるのかわからずに、聴く度に辺りをキョロキョロ見回すと、その度にあいつは、お腹のあたりを直角に曲げて笑った。

チリン、チリン、ポワポワポワ、チリン、ポ、ワワワワワワワワワワ。聴くと僕のまぶたは重たくなり、誰かに頭を優しく持ち上げられながら揺すられているような感じがした。あいつが鳴らしていることに気がついて、僕は何度かあいつに頭を振るよう頼んだけど、あいつが、いつ頭を振るのかは、あいつ自身もわかっていないみたいだった。あいつは全身が毛むくじゃらなのに、頭と顔には毛が一本もない。ワワワワワ、ポワ、チリン、チリン、チリン。

僕は眠った。ゴンザレスがボクシンググローブをつけて、飛び跳ねている。いいか、こう!いいか、こう!瞬間的に相手に反応して、打つ!はい、きて!ゴンザレスは僕に向かって構えた。はい、きて!僕が動こうとする。はいぃ!これ。僕が動こうとする。ほいぃ!これ、瞬時にだ、わかるか?僕は意味がわからなかった。それはカウンターのつもりか?と、全身白い服を着たゴンザレスよりも大きな男が言った。あ!やばい、時間だ!と言って、ゴンザレスは走り去った。なんだおまえ、びしょびしょだなあ。全身白の男が僕を見て言った。僕は頷くと、全身白の男は黙ってしばらく僕の体を見回して、僕は動けなくなった。全身白の男が不気味に笑いながら近づいてきた。

「オキロ!!ネエネエ、オッパイミタイ?」ってあいつは言ったんだ。僕は本当はオッパイよりも、水が飲みたかったけど、起き上がって頷いた。すると目の前に、黒いスーツに黒い帽子の女が現れた。こちらを見つめる大きな黒目と、柔らかそうな白い肌に、僕はきゅうと吸い込まれそうになった。女がこちらを見つめたまま、僕に向かってウインクをした。僕は女にそーっと近づいて、女の顔にゆっくり手を伸ばしていった。

「ダメ!!!!」ってあいつは叫んだ。ビクッとなって、僕の伸ばしかけた手は引っ込んだ。「触っちゃダメ、見るだけ、お願いしてみる」ってあいつ。だから僕はまた頷いて、女に言いました「おっぱい見せてください」。女は目を僕からそらさずに、ゆっくり前ボタンに手をかけて、ひとつづつ外していき、ふわっと一気に黒いジャケットを脱いだ。僕は唾を飲み込んだ。すべすべの、丸い、二つの、小さな。こんなにきれいな、女の人のおっぱいを、僕は見たことがない。おっぱい。

「オマエノカチ!!」ってあいつは僕に突進してきた。男たちがわらわら現れて、太鼓をドーン!と打った。僕は勝ったんだ!笛の音。あいつは全身をくねらせて踊っていた。みな踊っていた。僕も踊った。ゴンザレスもいた。ポンチョもいた。メルキアデスもいた。ゴンザレスは裸で踊っていた。月が出てきた。色とりどりの女たちも出てきた。「一緒に踊ろう!!」と言うと、月も女たちも踊った。とても楽しかった。いつまでも踊れた。ずっと続けばいいのに、と思いました。

隣で踊っていた、赤いスカートの、おっぱいの大きい女が、僕に顔を近づけてきて「海の近くがすてき」と言った。僕たちは踊ったまま手をつないで、海のそばまで進んだ。月は踊りに夢中だったので、暗くて姿は見えないが、そこでは波も踊っていた。嬉しくなって、僕はみんなを呼ぼうとすると、赤い女が「波が消えちゃうから、みんなには内緒」と言って笑った。心臓がドキドキした。僕と女と波は、踊りながら笑い転げた、踊りながら抱き合った、踊りながらキスをした。踊りながら女は言う「あなたはどこから来たの?」

僕はどこから、えーと、あれ、僕はどこから、えーと、あれ、僕はどこから、僕はどこから、思い出せないんだ。「名前はなんていうの?」「年はいくつ?」「家族はいますか?」「普段は何をしているの?」「休みの日は?」「好きなことは?」「好きなもの?」女の声が響く。僕は頭痛がしてきて、頭痛がしてきて、辺りが真っ白になった。

まぶしい。熱い。青い。喉がカラカラだ。体がびしょびしょに濡れていた。服は着けていない。パンツは履いている。靴下、イエス。靴も履いていた。熱い。まぶしい。どこだここは。側に、ボロボロの白い小屋があった。三輪車、折れたフラフープ、目のでかいロバの人形、赤いスコップ、が転がっている。誰もいない。あいつも見えない。あいつはどこへ行ったのか。ああ。水が飲みたい。

「なにやってんの?」気がつくと隣に女がいた。くたびれた服を来て、髪の毛はぼさぼさの、顔にはたくさんシワがある女。踊っていた女たちとは随分様子は違うが、目のくりんとして、背の低い、可愛らしい女だった。女は洗濯物を干しながら、僕の顔をのぞき来んで、ため息をついた。「ぜんぜん聞いてなかったでしょ?」何をだ。僕は喉が渇いた。と思ったら、女がペットボトルに入った水をくれたので、僕はそれを一気に飲んだ。生き返った。

「あの、誰ですか」僕は女に聞いてみる。「はい?」女は手を止めた。
「や、あの、どこですか」
「どこですかって?」
「どれですか」
「どれですか?」
「どれが本当ですか」
「どれが本当?うーーん、もういいや、はい、これ着い」
女は選択かごから洗いたての濡れたTシャツを僕に放りなげた。

「私の夢の話、聞いてた?」
「夢ですか」
「そう、だから、あなたタンピコの白いビル覚えていない?って。あの、いつも通っていた倉庫みたいな、入り口もなんだかよくわからないいつもがらんとした、いつも2人でこれなんだろね?って言ってた、ね、あるでしょ?、、いいわ、とにかくあの白いビルの前で、私たちはいつもみたいに、これなんだろね?って言ってるの、そしたら突然ビルの上から声がするのね。メルキアデスの声だわ。姿は見えない。メルキアデスは、では皆さんご注目!と言って、皆さん?そう、うしろを見たらすごい人。メルキアデスは皆さんと一緒に、せーのっ、いち!きゅう!にい!はち!って言うの、そしたら、いち、きゅう、にい、はち、って逆さまの数字がビルの壁に浮かんだ。わあ!そうか、このビル、そうか、いつも通っていたこのビル、そうかって。そうだったのよ、あのビル!すごいでしょ!メルキアデスは続けるの、お楽しみの時間!て、白い顔の男がビルの四階から現れて、皆さんは歓声、白い顔の男は4階からすうっと飛び降りて、乱闘シーンがはじまる、くっさい演技よ、見てられない、皆さんは大盛り上がり。そしたらその乱闘になんとポンチョとゴンザレスが混じってたわ。ああ、もう、やっぱり。でしょう?私たち2人で、どうかやめてって叫んだ、ポンチョとゴンザレスに。そんなところでやめて!でももう遅いわよ。もう全然聞こえてない。やめてー!!!って言っても、うっせえおまえら!!って。観客にヤジを飛ばされてゴンザレスがすることはわかるでしょ?切れてゴンザレス、自分の耳を引きちぎった。やめて!!って。ゴンザレス、引きちぎった耳を踏みつぶす。それ以上は見てないわ。もう離れるしかなかったじゃない。すごいよね!どれも本当!」

「どれも本当?」女は洗濯物を干し終えて、自分もペットボトルの水を一口飲んだ。僕はまた喉が渇いてきた。と思ったら「いる?」と女が自分のペットボトルもくれたので、ぼくは一気にそれを飲んだ。生き返った。「あ、あなたどうしたの?その傷?」と、女は僕のおでこに触れた。「また転んだね?」女が言った。「転んでない」僕は言うと、僕はなんだか悲しくなって、倒れそうになって、僕は女にしがみついて、涙が出てきたら、おいおい泣いた。女はずっと黙って僕の頭をさすっていて、それから「疲れたね」って言いました。

「つーかーれーるーよーなー」顔の無い細い男が、くねくねしながら現れた。女はもういなかった。

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